今回紹介する本は、穂高唯希さん著

人気ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」の著者が資産形成の手法と投資哲学を徹底解説。
再現性が高く真似しやすい手法と投資戦略をまとめた完全書き下ろし。
会社からの給料や、年金だけに、自分の人生をゆだねる生き方と決別し、
「経済的に自立し、自分の人生は自分で切り開く」という生き方を選びませんか!?
普通のサラリーマンでもできる、投資の世界へ足を踏み入れましょう。
Contents
10秒でわかる、FIREをめざすための投資手法
支出を最適化して、高配当株にひたすら投資し続ける
これが、FIREをめざす人のための投資手法です。
支出の最適化とは、「自分の価値観や目標に照らし合わせて、経済行動を適切に取捨選択すること」としています。平たく言えば、「節約」です。
高配当株にひたすら投資し続けるとは、定期的に高配当株をひたすら購入し、受け取る配当金を積み上げていくことです。
支出の最適化で生まれた投資資金を、高配当株に投資することで、不労所得である配当金を得て、経済的に自立する。
これが著者の投資手法になります。
なぜ高配当株への投資は米国が有力なのか?
米国企業の利益率の高さ
米国企業の高い収益率を示す指標として、営業利益率があります。
なぜかというと、「営業利益率が高い」ということは、競争力の高さや株主還元(配当)の源泉となる、「稼ぐ力が大きい」ことを意味するからです。
営業利益率は、営業利益 ÷ 売上高 で求められます。
日本の全産業の平均営業利益率は、4.3%ですが、
対して米国は、
企業名 | 営業利益率 | 業種 |
---|---|---|
アルトリア・グループ | 50.2% | タバコ |
アッヴィ | 32.1% | 製薬 |
デューク・エナジー | 23.1% | 電力 |
ジョンソン・アンド・ジョンソン | 24.5% | 製薬、医療品、ヘルスケア |
ベライゾン・コミュニケーション | 22.3% | 通信 |
など、日本の平均の5倍以上を誇ります。
米国企業の営業利益率の高さがわかります。
株主還元に対する積極的な姿勢
米国は、資本主義が根強い国。
なので、株主還元姿勢が積極的、かつ、明確です。
「会社は、株主のもの」という意識が強く、米国企業はたとえ短期的に減益でも、減配しないことも多いです。
例えば、「サザン・カンパニー」という米国の電力会社は、1948年から実に70年以上に渡って減配していません。毎年の年次報告書にも「減配しない」と明記され、同社の配当に対する積極的な姿勢が感じられます。
このように米国企業は、株主還元が積極的です。
長期的な増配に裏付けされた長期的な成長
米国企業は、増配に裏付けられた長期的成長が見込めます。
例えば、配当を長年増やしてきた、連続増配50年以上は、29社。
連続増配25年以上は、109社。
配当は、「打ち出の小槌」ではありません。
配当の源泉は、利益です。つまり、配当を増やしてきた企業は、その背景に「利益も堅調であった」ということがわかります。
もちろん、未来のことは不確定ですが、増配により裏付けされた長期的な成長は、信頼できるでしょう。
支出の最適化
資産形成の基礎は、支出の最適化。
いくらお金を稼いでも、出ていくお金が大きければいつまで経ってもお金は貯まりません。
支出の最適化でお金が貯まれば、それを投資に回すことで、資産形成は加速していきます。
会社の飲み会は必要最低限
価値観次第ですが、付き合いや嫌々参加する飲み会をバッサリ辞めてみるのも一案。
一回で5000円程度の支出の最適化になります。
会社の飲み会が自身の人生の目標より優先順位が低ければ、自分の人生を優先しましょう。
株主優待を徹底利用する
日本株には、株主優待という面白い制度があります。
株式を保有している人に、金券や食品など現物支給する株主還元の形です。
- はせがわ(8230) お米が毎年もらえます。
- 東急レクリエーション(9631) 映画が無料で鑑賞できます。
- CDG(2487) 一年で使いきれない量の高級テッシュ。
- ビックカメラ(3048)やBS11(9414) コンタクトレンズや日用品。
優待を使えば生活コストが浮きます。その浮いたお金で株式を購入すると、株主優待が届く。
こういった好循環を作れば、資産は加速度的に増えていきます。
プールやジムは公共施設を活用する
健康を保つには、適度な運動や良質な食事は欠かせませんが、
そのために、ジムやスポーツクラブに加入する必要はありません。
市民プールなどの公共施設なら、400〜500円で利用することができます。
コンビニでの買い物は避ける
コンビニは、現金やクレジットを使うところではなく、株主優待で受け取ったクオカードを使用するところです。
ですが、節約はあくまで個人の価値観にあった支出の最適化。
会社の帰りに美味しいコンビニスイーツが何よりの楽しみなら、買いましょう。
無視をしてはいけません。
現金ではなくクレジットカードを使う
平均的な日本人は、生涯で2億円以上使うそうです。
半分の1億円をクレジットで支払い、還元率が1%なら100万円の経済的利得。
これは現金払いなら、存在しなかったものです。
なるべく、クレジットカードを使うようにしましょう。
階段は資源
運動不足気味なら、おすすめは階段の活用。
オフィスワーカーは、一日中デスクワークで椅子に張り付き、長時間座ることになり、運動不足になりがちです。
階段を利用するだけで運動になり、脳は活性化され、健康になると医療費の削減にもつながります。
高配当株に投資し続ける
高配当株に投資し続けるには、米国株ETFを買い続けるのが一番カンタンです。
ETFとは、日本語で上場投資信託(Exchange Traded Funds」)。
例えば、日本の株式指数であるTOPIXに連動するETFは、TOPIXとほぼ同じような値動きをします。
つまりこのETFを1つ買えば、トヨタ、NTT、三菱UFJなど数百の企業に分散投資したことになります。
ETFは、分散投資でリスクを減らしつつ、分配金ももらえるのです。
3つのおすすめ米国高配当ETF
おすすめの3つの米国高配当ETFを紹介します。
- VYM 運用実績が長く、増配率6%の安定ETF。
- HDV 財務の健全性が高く、持続的に配当を出すETF。
- SPYD 配当利回りが高く、近い将来の配当を最大化するETF。
3つとも定期的な不労所得を得るのに適したETFです。
また運用中にかかる手数料は、全て0.1%以下で全く問題ありません。
ETF | メリット | デメリット |
---|---|---|
VYM | ・運用期間が長く、データが多い。 ・値動きが相対的に小さい。 | ・近い将来の配当は最大化しにくい。 |
HDV | ・財務良好な銘柄が主体。 | ・銘柄やセクターが偏る。 |
SPYD | ・近い将来の配当を最大化しやすい。 ・分散が取れている。 | ・運用期間が短く、データが少ない。 ・値動きが相対的に大きい。 |
3つ全て保有する必要はないので、自分にあったETFを1つか2つを選んで投資するようにしましょう。
支出の最適化をして、高配当株に投資すると、着実に配当金は積み上がっていきます。
高配当ETFを主体とし、リートや日本株など分散されたポートフォリオを築き、安定的な不労所得を得ていきましょう。
分散したい場合におすすめのETF
米国高配当ETFを紹介しましたが、高配当ETFだけですと、値動きが激しくリスクもあります。
なので、米国インデックスETFや米国債券ETFなどに分散することが必要です。
米国株に広く分散投資するなら、
楽天・全米株式インデックスファンド
米国債券で資産を守りたいなら、
BND(バンガード・米国トータル債券市場ETF)
などで分散するのも良いでしょう。
もちろん、為替リスクを無効にする日本株式、現物資産である不動産に投資する日本REIT(不動産投資信託)などに分散するのもおすすめです。
資産形成は目的ではなく、手段
もっとも重要なことは、資産形成、つまりお金は、あくまで「手段であって目的ではない」ということです。
お金自体を目的にすると、方向性を見失い、真の幸福感や充実感を得ることはできなくなります。
お金は、「人生の選択肢を増やす」ための手段に過ぎません。
「自由に生きていく」ための1つの切符という位置付けです。
自分が心の底から、何を欲し、どのような状態であれば幸せと感じるのか、これをとことん掘り下げ、客観視する。
そして、目標を設定して、それに向かって邁進する。
自分の目標を達成する手段として、支出の最適化と高配当投資でお金を運用していきましょう。
まとめ
「支出を最適化して」「高配当株投資に回す」。資産形成の基礎を学ぶのに最適の本でした。節約の詳しい方法や、おすすめの高配当ETFの分析などが非常にわかりやすくまとめてありました。
特に印象に残ったのは、「資産形成は手段であって目的ではない」という章です。お金が目的になると、大切なものを見失ってしまいます。「人生の目的のために楽しく、資産を形成していこう」という想いが伝わってきます。筆者の穂高さんはとても良い人柄なのだろうな、と個人的に感じました。一回しかない人生を自分の生きたいように生きると決意し、実行に移す行動力も素敵です。
投資を行う上での知識を深め、背中を押してくれる。FIREをめざす人にとっては、バイブル的な本です。気になった方はぜひ読んでみてください!